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tsukuru*hito (ツクルヒト)

tsukuruhito file #2

浜松から宇宙に飛び立つ、「モノづくり」と「ヒトづくり」。

原田精機株式会社 / 代表取締役 / 原田 浩利

Webメディアの企画・運営を手掛ける『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が、さまざまな業界のキーパーソンと対談するこの企画。 今回のお相手は、わずか30名ほどの会社で自動車やオートバイの0次試作を行い、、大手が打ち上げる人工衛星部品の試作・製造を手掛け、そして自前の人工衛星の打ち上げにも挑戦している『原田精機』の代表・原田浩利さんです。 「2カ月に1度以上はゴルフを共にする仲」ということもあり対談は終始和やかに進みましたが、そこから浮かんできたのは原田さんの技術を追求し続ける姿勢とモノづくりにかける情熱。 いまにもロケットが飛び立ちそうな熱いメッセージをお届けします。

Chapter 2意外!? 宇宙では「枯れ果てた技術」が使われている。

岩田今日は人工衛星の話もじっくり伺いたいと思っているんですが、そもそも何で宇宙分野に進出しようと思ったんですか?

原田まず、企業マネジメントの面から景気の影響を受けにくい安定した組織体制をつくろうと考えていたこと。次に、二輪・四輪といった輸送機器以外の産業界でも切削加工の技術は必要とされていると感じていたこと。そんな時に『中小企業テクノフェア2000』に出展して、うちの技術が人工衛星を作っているメーカーの目に留まったのがきっかけかな。

岩田この分野なら培ってきた技術力を応用できるし、事業の新しい柱に育つ可能性があると考えたんですね。

原田その通り。人工衛星はGPSや衛星放送、電波時計をはじめ既にいろいろなものに役立っているし、今後もっと伸びていくはずだから。ただ、削りの仕事なら問題なくこなせるだろうとテストに参加したんだけど、輸送機器と人工衛星では「モノづくりの常識」が違ったね。

岩田常識が違うって、具体的にどういうことですか?


原田例えば、どういうところに注意して削るか、という基本的な部分からもう違う。それで設計者と直接話して、最終的な“点の精度”を求めて少しずつお互いの認識をすり合わせていった感じかな。「いまこういう課題を抱えているんだけど原田精機ならどうするか」「他にどんな部品があるか」という質問や要望に応えながら。

岩田確かにIT業界の場合はWebサイトでもシステムでも完成後に修正してアップデートできるからいいですけど、一度削ってしまったモノは元に戻せないですし、どこに注意して削るかはとても大きな違いですね。

原田特に宇宙に飛ばしたら、そう簡単に修理もできないからね。

岩田だから、技術を使い古したい。

原田そう。勘違いしている人が多いんだけど、宇宙に持って行っているのは最新技術じゃなくて、もはや「枯れ果てた技術」なんだよ。アルミホイルはもともとNASAで開発された薄膜の技術なんだけど、保温効果があるから山での人命救助に使える、料理にも使えるとわかって大量生産されるようになり、いまや当たり前の技術になった。ここまで来るともうほとんどエラーは起きないから、宇宙開発に応用できるんだ。



岩田技術を提供するだけではなくて、自社で人工衛星の開発に着手したのはいつ頃ですか?

原田2007年かな。気象衛星ひまわりをはじめ、いま地球上を飛んでいる国産の人工衛星にはほぼ全てにうちの部品が使われているんだけど、JAXAやメーカーと協力するうちに自分たちでも人工衛星や望遠鏡を作れるんじゃないかと思ってさ。で、作っちゃった(笑)

岩田受注が増えて管理システムを自作した時と同じような感覚ですね。必要なモノやできそうなモノは、自分たちで作ってしまう、という(笑)

原田そういう性分なのかもしれないなあ(笑)

岩田でも、付き合いのあった人工衛星メーカーは怒りませんでしたか? どうして原田精機で開発するんだ、って。

原田そんなの怒らないよ。大手メーカーが従業員30名の切削加工会社に目をつけて、「この技術は使える」と言って取引してたんだよ。「やっぱりあのメーカーは先見の明を持っている」と評判は上がるし、業界内での発言力も上がるじゃない。いまは同志になってるよ。

岩田ここで「同志になってる」とサラッと言えるのが格好良いんですよ。技術力に裏打ちされた会社ならではの自信を感じますね。

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Tsukuruhito

原田 浩利

原田 浩利

原田精機株式会社
代表取締役

Company

原田精機株式会社

自動車、オートバイ、航空機、人工衛星などの精密部品の設計・開発・製造ならびに競技用車両の試作開発、供給のサポートを行う。

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )