

tsukuruhito file #2
浜松から宇宙に飛び立つ、「モノづくり」と「ヒトづくり」。
原田精機株式会社 / 代表取締役 / 原田 浩利
Webメディアの企画・運営を手掛ける『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が、さまざまな業界のキーパーソンと対談するこの企画。 今回のお相手は、わずか30名ほどの会社で自動車やオートバイの0次試作を行い、、大手が打ち上げる人工衛星部品の試作・製造を手掛け、そして自前の人工衛星の打ち上げにも挑戦している『原田精機』の代表・原田浩利さんです。 「2カ月に1度以上はゴルフを共にする仲」ということもあり対談は終始和やかに進みましたが、そこから浮かんできたのは原田さんの技術を追求し続ける姿勢とモノづくりにかける情熱。 いまにもロケットが飛び立ちそうな熱いメッセージをお届けします。
岩田「モノづくりの常識」が違ったという気付き以外に、人工衛星に関わってから原田さんの中で変化したことはありますか?
原田会社が社員1人ひとりのスキルアップを後押しするだけではなく、今まで以上にスペシャリストな人材を育てていかなければならないとしみじみ思ったね。原田精機なら、削りの機械や技術、材料の金属、そして宇宙や人工衛星など、それぞれのスペシャリストを育成して意見を集約し、より先進的な方向性を打ち出す。そうして日本のモノづくりのブランド力を高め、国際的な競争力を蓄えていく。
岩田スペシャリスト同士の意見交換から、ハイブリッドな事業展開やモノづくりを目指すんですね。
原田そのためにExcelから切削機械まですべてにスキル管理表を用意して、「この仕事をするにはどんなスキルが必要か」を一目でわかるようにしているんだ。誰もがスペシャリストになれるように。同時に、機械の操作にしても自分でできるなら「〇」、他人に教えられるなら「◎」をつけて、誰が何をできるのかも全員がわかるようにしてる。
岩田原田精機は本当に何でも“見える化”していますね。
原田機械の操作マニュアルにも、どんどん加筆されてるよ。ある社員が操作ミスを起こしても、注意点として書き残せば後からマニュアルを見る人間は事前にどういうミスが起こりやすいのか気付くことができるでしょ。失敗例なんて別にみんなで共有しなくても、何か一つ気付きがあればいいんだよ。

岩田そう言われると、日本は失敗から学ぼうとする姿勢が強いのかもしれませんね。まずは高品質なモノを作って、もし失敗したら全員でどこがダメだったのかを話し合って課題をあぶり出して、より良い改善案を出す、みたいな。
原田ソフトウェアなんかさ、海外製品だと「これで売るの?」とびっくりするようなモノがいっぱいあるじゃない。だけど、そこで失敗しても「これだとやっぱりダメだった」と気付けるし、同時に「でも、ここまでは上手くいった」という感触もわかる。失敗よりも、成功した部分にフォーカスをあてて共有した方がよっぽどオリジナルの技術が蓄積されると思うんだよね。
岩田成功例の共有というのは、社内外を問わずもっとした方がいいですね。その方が、面白いアイデアもより出てくるような気がします。
原田本当にそう思う。

岩田最後に、原田さんの考える「社長の役割」って何ですか?
原田時代にあったテーマ、技術、そして会社経営をリンクさせること。それが社長業であり会社マネジメントだよ。
岩田今日はいろいろと勉強させてもらいました。ありがとうございました。

Tsukuruhito
原田 浩利
原田精機株式会社
代表取締役
Company
原田精機株式会社
自動車、オートバイ、航空機、人工衛星などの精密部品の設計・開発・製造ならびに競技用車両の試作開発、供給のサポートを行う。
この記事を書いたライター
是永 真人 ( これなが まさと )