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tsukuru*hito (ツクルヒト)

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浜松で育まれた「うなぎの中食文化」を、全国へ。

有限会社うなぎの井口 / 代表取締役 / 井口 恵丞

Webメディアの企画・運営を手掛ける『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が、さまざまな業界のキーパーソンと対談するこの企画。 今回のお相手は、うなぎの「持ち帰り」と「地方発送」を専門とする『うなぎの井口』代表取締役・井口恵丞さんです。 うなぎの産地として有名な浜松は、養殖、販売、飲食が一貫して流通する数少ない地域。そして、スーパーや専門店で調理済みの料理を購入し、自宅でひと手間をかけて食卓に並べる「中食」文化も盛んでした。こうした背景から、「うなぎを白焼の状態で持ち帰って食べる」という浜松ならではの食文化が生まれます。 この伝統を受け継ぎ、さらに全国へ広めようと、うなぎに関するさまざまな情報発信やオリジナル商品の開発に力を入れてきた井口さん。変わりゆくうなぎ事情と、今後の展望についてお話を伺いました。

Chapter 3うなぎが高い理由……稚魚が成体に育つのは、「運」。

岩田先ほど、「うなぎは値段も変動する」というお話がありましたが、なぜ変動するんですか? 養殖ならもう少し安定しそうですが。

井口うなぎは稚魚を獲って育てています。それゆえ、稚魚の獲れ次第によって需給のバランスが崩れ、値段も変動するわけです。また、人工ふ化の研究も進められています。この人工ふ化での稚魚よりもっと小さいうなぎには、エサとしてサメの魚卵がいいとされていますが、このエサも絶滅危惧種なんです。

岩田絶滅危惧種の魚卵がエサなんですか…。

井口この稚魚より小さいうなぎは自分でエサを食べられないので、たまたま魚卵が口に入った稚魚しか育ちません。

岩田たまたま…

井口最後に、エサを食べられない稚魚が死ぬばかりでなく、水中に残ったエサのせいで水が汚れ、育とうとしていた稚魚まで死んでしまうんです。

岩田それはもう完全に運ですね。

井口最先端の研究所では、稚魚をビーカーのような小さい水槽で育てています。代わりのエサが見つかり、稚魚の成育方法に大きな変化がない限り、とても大きなプラントでは育てられません。現状では運に頼らざるを得ないので、値段も安定しないんです。ただ、私たち関係者は人工ふ化が早く確立されることを心待ちにしています。

岩田うなぎが高い理由が良くわかりました。でも、それでは仕入れも大変ですね。

井口先物取引と同じですよ。いろいろな状況から値の動きを読むしかありません。今年も、1~2カ月の間に仕入れ値が1.5倍になったことがありましたよ。

岩田仕入れ値がそんなに変わると困りますね。

井口当店ではうなぎの臭みを取り除くために2~5日ぐらい、うなぎを活かしていますが、うなぎの成育方法がこのままなら、これ以上会社の規模を大きくしたり、多店舗展開しようとは思いませんね。それよりも1店舗で一括管理した方が良いと考えています。品質も確認できますしね。

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Tsukuruhito

井口 恵丞

井口 恵丞

有限会社うなぎの井口
代表取締役

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有限会社うなぎの井口

昭和63年の創業の、うなぎの産地「浜松」でも数少ない持ち帰りと地方発送の専門店です。

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )