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tsukuru*hito (ツクルヒト)

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浜松にも「埋もれているアイデア」がある。それをみんなで共有したい。

TEDxHamamatsu / オーガナイザー / 河口 哲也

Webメディアの企画・運営を手掛ける『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が、さまざまな業界のキーパーソンと対談するこの企画。 今回のお相手は、「価値のあるアイデア」を広め共有する非営利団体・TED(テッド)の精神を受け継ぎ、アメリカのTED本部から正式ライセンスを受けているTEDxHamamatsu(テデックスハママツ)のオーガナイザー・河口哲也さんです。 TEDxは東京・京都・札幌など日本全国で運営され、文化、伝統、芸術、産業などさまざまな分野から「スピーカー」と呼ばれる発表者を招き、独自のアイデアをスピーチしてもらうイベントを開催しています。 その中で、TEDxHamamatsuは「モノづくりの街」として発展してきた浜松にも「埋もれているアイデアがあるはずだ」という想いから設立されました。 ここでは本来サポート役の河口さんにスピーカーとなってもらい、設立の経緯から今後への期待、さらにボランティアに従事する上で大切なことまで熱く語っていただきます。

Chapter 1きっかけは、父親が経営していた部品工場の倒産。

岩田これまでモノづくり企業の方々と対談することが多かったので、ボランティアで構成されるTEDxの中心メンバーである河口さんとはどのような話ができるのだろうと楽しみにやってきました。よろしくお願いします。

河口よろしくお願いします。

岩田ここに来るまで何から聞こうか悩んでいたのですが、「TEDって何?」という方のためにまずはTEDのことを説明してもらってもいいですか?

河口わかりました。簡単に言うと、TEDとは「価値のあるアイデア」をみんなで共有するために生まれたものです。最初は代表の仲間内だけでやっていたのですが、2代目の代表になってからYoutubeを通して世界に発信するようになり爆発的に広まりました。毎年カナダのバンクーバーで行われる『TEDカンファレンス』では、過去にビル・ゲイツのような著名人もスピーチを行っています。

岩田イベントはどのようなメンバーで構成されているんでしょう?

河口スピーチをする「スピーカー」と参加者である「パティシパント」で構成され、スタッフは全員ボランティア。TEDの精神を受け継ぎ、世界中で同じような体験をもたらす自主運営プログラムがTEDxです。2009年のスタート以来、いまでは世界133カ国、4,300カ所に拡大し、日本でもTEDxTokyoやTEDxKyotoなどが各地域で運営されています。


岩田ということは、河口さんもボランティアとして参加しているんですね。

河口そうです。本業というか、一方では外資系金融機関のコンサルタントもしています。

岩田どういう形でTEDに関わるようになったのか、河口さんの略歴と共に教えていただけますか。

河口高校までは浜松に居て、京都の大学に進学しました。その後、カナダに留学して旅行会社に就職し、バックパッカーとして世界を一周。帰国後に浜松のアパレルショップで5年間働き、30歳の時に父親が経営していた自動車部品工場に入社しました。

岩田お父さんが経営していた工場は、主にどのようなモノをつくっていたんですか?

河口車内のカーペットやドアの内張の縫製をしていました。ただ、いわゆるモノづくり企業とは異なり、流れ作業でバラバラの部品を組み立て箱詰めにするだけでしたね。車種が変わると工程や部品が大きく変わるため機械でやると逆に効率が悪く、すべて手作業で行っていました。

岩田最盛期には何人くらい居たんですか?

河口最新の設備よりも人手が必要な仕事だったので、リーマンショックの前は派遣社員も含めると100名くらい居ました。でも、「依頼されたことだけをこなす」うちの会社にはオリジナルの技術というものがなく、リーマンショック、東日本大震災、取引先の新工場設立など時代が変化する中でまったく対応できませんでした。次第に経営が悪化し、最終的には社員も30名にまで減り、2014年に倒産します。

岩田そこから、なぜTEDをやろうと?

河口うちの会社は時代の変化に対応できませんでしたが、だからと言って他社も同じだとは限らない。むしろ、面白いアイデアや技術を持っているのに表に出ていない、「埋もれている会社が絶対にあるはずだ」と思ったんです。特に、モノづくりの街として栄えてきた浜松には、そうした傾向が強いのではないか、と。

岩田確かにそうですね。私も『ツクルヒト』の企画を通して浜松にあるさまざまな企業の代表とお話しさせていただく機会が増えましたが、いまだに「こんな技術があったんだ」と驚きます。

河口そんな時にインターネットでアイデアをシェアするTEDを知り、ここなら誰もが自由に自分のアイデアを披露でき、みんなで共有できると思ったんです。

岩田それまでボランティアの経験はあったんですか?

河口いえ、ボランティアもコミュニティ運営の経験もありませんでした。でも、ずっと体育会系で育ってきたことので、「オープンな空間」や「フラットな環境」という言葉に惹かれたんです(笑)

岩田「アイデアの共有」という面で言えば、企業のマッチングフェアのようなものもあるじゃないですか。技術を見てもらうことで新しいアイデアが生まれ、一緒にプロジェクトを立ち上げる、という。それとはどう違うんでしょう?

河口企業のマッチングフェアの場合、来場者とブースを出している出展者の間には、出会った時点で発注者と受注者の壁が存在しています。そうではなく、垣根がない状態で面白い話ができる空間をつくりたかったんです。例えば、自動車メーカーの社長と町工場の親父さんが利害関係なく話せるような。そこから新しいアイデアやビジネスが生まれてくれれば、こんなに嬉しいことはありません。

岩田TEDxHamamatsuがスタートしたのはいつ頃ですか?

河口2014年ですね。父親の会社の経営状態が悪化する中でTEDのライセンス取得に動き、ちょうど倒産する頃に取得しました。会社倒産時には金融機関にも迷惑をかけたので、当時は外を歩くのも憚れましたが、いまでは金融機関もTEDxの理念や活動を認めてくれ応援してくれています。

岩田では、スポンサー探しから組織づくりまで、本当にイチから手掛けたんですね。

河口すでに日本でもTEDxの運営ははじまっていたので各事務局に話しを聞きにいってやり方を学び、手探りでカタチをつくっていきました。

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Tsukuruhito

河口 哲也

河口 哲也

TEDxHamamatsu
オーガナイザー

Company

TEDxHamamatsu

地域の文化、伝統、芸術、産業など、さまざまな分野から発表者を迎え、スピーチやパフォーマンスによりアイディアを共有し、世界へ発信する。

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )