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tsukuru*hito (ツクルヒト)

tsukuruhito file #15

航空事業の最先端は新潟に。ボーイングの重要部品をつくる「AI工場」。

株式会社山之内製作所 / 代表取締役社長 / 山内 慶次郎

Webメディアの企画・運営を手掛ける『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が、さまざまな業界のキーパーソンと対談するこの企画。 今回のお相手は、航空・宇宙・防衛・医療など、さまざまな分野の精密機器をつくっている『山之内製作所』の代表取締役社長・山内慶次郎さんです。 削りにくい、加工が難しい「難削材」の切削加工に取り組みながら技術力を高めた同社は航空事業に進出し、いまではボーイング787の機体や航空機エンジン部品を製造するまでに成長。しかも、それらはすべて新潟県内にある24時間稼働型のAI工場でつくられています。 新規参入が難しいと言われる航空業界で確かな実績を残してきた山内社長は、今後何を目指すのか。会社のことから航空業界の行く末まで伺います。

Chapter 2日本でつくった飛行機が、世界の空を飛べるように。

岩田山之内製作所の事業は、現在航空事業がメインなんですか?

山内そうですね。パリの航空宇宙ショーを見に行った時、ヨーロッパの中小企業が自社製品を並べて商談していたんですが、正直に言ってとてもチープだったんです。これなら日本の方が遥かに良いモノをつくれるはずだと思い、航空事業に注力し始めました。でも、実際に参入してみると部品1つを作るのに国際認証を取得しなければならない。そこで、航空宇宙産業の国際品質管理規格「JISQ9100」や航空機部品製造の特殊工程認証「Nadcap」などを順次取得し、いまはボーイング787の機体の重要部品やボーイングやエアバスに搭載される新型航空エンジン部品などを製造しています。

岩田ボーイング787といえば、主翼をはじめ約3分の1の部品を日本メーカーが納入していると話題になりましたよね。山之内製作所も、あの最新機体の一部を担っているんですね。

山内日本では飛行機をつくれないため、部品を納入することでしか関われませんからね。


岩田どういうことですか?

山内航空事業を行うには、さまざまな認証が必要なんです。部品製造の認証、メーカー認証、そして空を運航するための国際認証。空の旅では1つのミスが文字通り命取りになってしまうため厳格化するのは当然なんですが、そうした数々の認証の必要性あるのですが日本では旅客を目的とした民間機が製造されたのは戦後YS11製造依頼、飛行したことはありません。そのため日本では製造の認証をやめてしまいました、日本製の飛行機が空を飛んでいるのは防衛省の飛行機で武器といったカテゴリーだけなんです。
最近になってMRJの製造ができる程度の認証をし始めていますが、飛行機を組み立てる程度の認証にとどまっていて重要な部品やエンジンを製造できるまでにはなっていません。

岩田そうだったんですか。

山内いま世界中を飛んでいる飛行機は、すべてアメリカ主導の認証を受けて飛んでいます。EUや中国の飛行機も、アメリカと相互認証を結び飛んでいる、という状況です。

岩田それは知りませんでした。

山内認証が取れないと、部品も安く買い叩かれてしまいます。正直に言って、これでは産業として成り立っていないですよね。だからこそ、将来のために国策として航空産業をどう発展させていくのか考える時期にきていると思います。

岩田山内さんの個人的な意見としては、具体的にどうするべきだと考えているんでしょう?

山内例えば、ボーイング787の製造には三菱重工、川崎重工、富士重工をはじめとする大手重工が関わっています。こうした大手重工を中心に、もっと多くの中小企業が航空事業に参入すれば業界も大きく様変わりし、国全体で航空産業が盛り上がるはずです。そのためにも国が指針を示し、中小企業の参入を促す仕組みづくりが必要ではないでしょうか。実際、大手重工はもっと多くの中小企業に参入してほしいと考えています。しかし、新規参入するためには各企業が「JISQ9100」や「Nadcap」といったハードルの高い国際認証をクリアしなければならないんです。また実績を積まないと承認されない場合もあります。

岩田産業として成立させるために中小企業をどんどん参入させたいけれど、参入して部品をつくるには国際認証の取得実績が必要、というわけですか。なかなか難しそうですね。

山内大手重工も、参入してほしいけれど認証取得の面倒までは見切れない、というのが実情です。私たちも参入障壁を取り除くために関係省庁や各自治体にPRを行ってきたんですが、今後はもう1歩踏み込み、中小企業向けのコンサルティングをはじめていきます。

岩田航空業界への参入を山内さんが手引きする、ということですか?

山内はい。というのも、最近「航空業界に参入したい」という声をよく耳にするんです。そこで新潟市と協力し、当社が品質保証を担う産業クラスターを形成することで2社を航空業界に参入させました。これを拡大するような形で認証取得へのコンサルティングをしていきます。

岩田ボーイングの部品製造や航空機のエンジンなどで実績のある企業からコンサルティングしてもらえるのであれば、受ける方も心強いですね。

山内一般的なコンサルティング会社との一番大きな違いが、まさにそこです。これまでも航空業界への参入を後押しするようなセミナーはありましたが、参入時にどのようなハードルがあるかを説明するだけで、『では実際にどのようなことをすれば良いのか』という部分の情報提供は不足していました。社内の品質や設備管理をはじめ、トラブル発生時の対応スキームなど、私たちなら経験に基づいた個別の改善策を提案できます。そうした活動から国の理解や支援を受けて、航空産業を確立させたいですね。

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Tsukuruhito

山内 慶次郎

山内 慶次郎

株式会社山之内製作所
代表取締役社長

Company

株式会社山之内製作所

半導体機器、電機製品、バルブなどの製品を経て、現在では防衛特機部品、医療機器、宇宙開発機器など、精密部品の加工から組み立てまでを行う。

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )