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tsukuru*hito (ツクルヒト)

tsukuruhito file #15

航空事業の最先端は新潟に。ボーイングの重要部品をつくる「AI工場」。

株式会社山之内製作所 / 代表取締役社長 / 山内 慶次郎

Webメディアの企画・運営を手掛ける『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が、さまざまな業界のキーパーソンと対談するこの企画。 今回のお相手は、航空・宇宙・防衛・医療など、さまざまな分野の精密機器をつくっている『山之内製作所』の代表取締役社長・山内慶次郎さんです。 削りにくい、加工が難しい「難削材」の切削加工に取り組みながら技術力を高めた同社は航空事業に進出し、いまではボーイング787の機体や航空機エンジン部品を製造するまでに成長。しかも、それらはすべて新潟県内にある24時間稼働型のAI工場でつくられています。 新規参入が難しいと言われる航空業界で確かな実績を残してきた山内社長は、今後何を目指すのか。会社のことから航空業界の行く末まで伺います。

Chapter 4経営者が考えること――10年先に、何が自分たちのアドバンテージになるか。

岩田山内さんが語ってくれる将来的な話に「うん、うん」と肯けるのは、山之内製作所の工場がAIで動いているからなんですよね。AI工場でボーイングの部品をつくっている人が言うことなので、空飛ぶタクシーのような話も「本当にそうなるかもしれないな」と思えてきます。工場の自動化は昔から進めてきたことなんですか?

山内先代は職人気質な人だったので、設備投資をしようと提案しても「借金したくない」と言われることがほとんどでしたね。1度、パレットチェンジを自動でやってくれる機械を導入しようと提案した時も、「そんな機械を導入するくらいなら他の機械を2台買った方がマシだ」という感じで。その時は自動化のメリットともたらす利益を説明して最終的にGOサインをもらいましたが、工場全体をAIで管理するようになったのは私が代表になってからです。

岩田工場にAIを導入することで、どのようなことが可能になったんでしょう?

山内昼間に諸々の設定をしておけば、機械は24時間稼働してくれます。人だと、残業しても勤務するのは10時間程度ですよね。残りの14時間を動かし、さらに加工精度も上げることで付加価値を高めようと思ったんです。

岩田AIによって精度も上がるんですか?

山内加工で差異が生じるのは着脱する時なんです。人の場合、1面を加工したら着脱し、また違う面を加工する…と繰り返すため、着脱時にずれがあると六面を加工すると差異がどんどん積み重ねってしまいます。でも、いま当社に導入している機械は1回の着脱で5面同時加工できるので、人が苦労することを夜中に、正確にやってもらっている、というわけです。


岩田それだけの設備投資をして、「返せなかったら」と思うと怖くなりませんか?

山内もともと5軸加工をしていたので、付加価値のある5面加工・同時五軸加工ができれば返せるだろうというリスクヘッジはしているんですよ。リスクヘッジが1つ考えることができたら3つ、4つのヘッジができるもんなんです。だからこそ、「10年先に何が自分たちのアドバンテージになるか」と考えることが大切だと思います。私も来年のことを考えたら不安です。でも、もっと先を見れば夢しかありませんから楽しです。10年先の夢の実現に対して、設備、人材、売上、業界構造などを一年一年逆算していけばいいんですよ。
おのずと10年計画が実態のものになるそれをこなすだけなので恐れは無くなります。

岩田すべての経営者が参考になるメッセージですね。

山内私もたくさんの経営者を見てきましたが、経営者ってみんな「欲」がありますよね。でも、欲があるから儲からないと思うんです。その欲を捨て、経営自体を楽しめば良いんですよ。社員を信頼し、仕事は平等に任せて信頼して権限移譲すれば全てうまくゆきます。

岩田なんだか私自身がいまコンサルティングを受けているようです(笑)

山内私も現場の責任者の時代から最近までに何でもやっていたんですよ。でも、私が仕事をこなせばこなすほど、社員がどんどん指示待ち人間になっていったんです。その反省から、社長は方針だけ決めれば良いと思っています。ある有名な社長からも言われたんです。「社員は信頼しろ、でも信じるな」って。実際は信じているけど信頼していない人が多いんですよ。「あいつのこと信じてたのに辞めやがったとか裏切られた」みたいな。でも、結局信頼していなかったら成果や努力に対する報酬を与えなかったわけですよね。「成果が上がれば報酬はいくらでも出す、君ならできる」と言えるのが良い社長ですよ。
信じて任せきり、何も決済しないのはダメな社長といえるでしょう。

岩田勉強になるなあ。

山内そこまで言われたら、私も今後のコンサル事業に自信が持てます(笑)

岩田本日勉強させてもらったことを肝に銘じて、私も経営に挑んでいきます。ありがとうございました。

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Tsukuruhito

山内 慶次郎

山内 慶次郎

株式会社山之内製作所
代表取締役社長

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株式会社山之内製作所

半導体機器、電機製品、バルブなどの製品を経て、現在では防衛特機部品、医療機器、宇宙開発機器など、精密部品の加工から組み立てまでを行う。

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )