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tsukuru*hito (ツクルヒト)

tsukuruhito file #X1

宇宙と航空――次世代の基幹産業を育てるために。

原田精機株式会社 / 代表取締役 / 原田 浩利

株式会社山之内製作所 / 代表取締役社長 / 山内 慶次郎

自動車やオートバイの0次試作を行い、自社での人工衛星打ち上げにも挑む『原田精機』の代表・原田浩利さんと、ボーイング787の機体や航空機エンジン部品の製造を手掛ける『山之内製作所』の代表・山内慶次郎さん。 それぞれ浜松と新潟の中小企業でありながら、日本の宇宙事業と航空事業をリードするお2人を迎え、『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が司会役となり3者対談を行いました。 それぞれの業界の展望と課題について意見を交わし、より良い未来を築くために何をするべきか――専門的な見地も交え、濃密に語り合った様子をお届けします。

Chapter 1会社と国益のため、マネジメントが難しい宇宙・航空分野に挑む。

岩田 今回お2人に対談をお願いしたのは、中小企業でありながらそれぞれが宇宙と航空分野の最先端を走っている会社の代表だからです。お2人がこれまでやってきたことなどは私との対談でもお話しいただいたので、ここでは業界の展望や課題について、より深く話してほしいと思っています。では最初に、いきなりこのページを見る方のために会社のことを簡単に教えてください。

原田 原田精機は二輪・四輪に使う高精度部品の0次試作を手掛け、人工衛星の部品づくりから宇宙事業に進出。来年には自社開発した人工衛星も打ち上げ予定です。

山内 山之内製作所は難削材の加工から技術力を高めて、航空事業に進出しました。いまはボーイング787の機体や航空機エンジン部品などを製造しています。

初めての出会いは?

原田 15年前かな?2003年に商工会議所で会ったのが最初。

山内 そうですね。私が航空関連の講演で浜松に呼ばれて、そこで知り合ったんです。でも、最初は原田さんから不評で、「あんな奴の話なんて聞くな」と言われていました(笑)

岩田 そうなんですか?

原田 だって新潟でボーイングの最新機体や最新のエンジン部品をつくってる会社の社長がわざわざ浜松まで来て、みんなが儲かる世界ですよって話をしているから、そりゃ最初は疑うよ(笑)

山内 だけど、航空の世界で私が頑張るから宇宙の世界は原田さんが頑張るという事で「お互い業界を盛り上げていこう」と意気投合したのが8年位前で、そのあと何度か話して、うちの工場も見てもらってからはすぐに仲良くなりましたよね。

原田 やっぱり宇宙と航空というマネジメントが難しい分野を手掛けているから、苦労もわかり合えるんですよ。

岩田 本日はそういった宇宙と航空業界ならではの話をお聞きしたいんです。

マネジメントが難しい?

原田 例えば、自動車は地上を走っているので故障してもすぐに駆け付けて修理できる。これをレベル1と仮定すると、海上を走る船舶はレベル2、空を飛ぶ飛行機がレベル3、そして人工衛星はレベル4と言える。修理の難しさによって、部品の製造や加工に対する要求度がどんどん高くなるんだよ。

山内 その分、責任も重たくなりますしね。飛行機は1つのミスが大きな事故につながる可能性があるし、人工衛星なんて失敗すると数百億円が消し飛んでしまう。社内の管理体制や関係者との調整など、レベルが高くなるに従ってあらゆる面でマネジメントが難しくなるんです。

岩田 なぜそれほど難しい分野に敢えて挑戦するんですか? 原田精機と山之内製作所の技術力があれば、他の分野でも十分に力を発揮できるはずですよね?

原田 それは会社と国益のためだよ。もともと原田精機が宇宙事業に乗り出したのは、それまで注力していた二輪・四輪以外の分野に自分たちの技術力を応用し、安定した組織体制をつくろうとしたから。これはすなわち会社のため。そして、我々が宇宙開発に積極的に挑んで道をつくり、しっかり利益を出すことができれば必ず誰かが後に次いでくれる。そうすれば産業として盛り上がり、国益になる。

岩田 山内さんも同じような考えですか?

山内 そうですね。うちが航空事業をはじめたきっかけは「10年後に会社と社員を守ってくれる産業は何か」と考え、航空業界に伸びしろを感じたからです。ただ、さまざまな認証を取得してボーイングやエアバスの関連の部品製造ができるようになったものの、先ほど話したマネジメント面を含め、「これは大変な業界だ」と感じたからです。
しかし本格参入にはリスクが高く、自分の代で会社が人手に渡るかもしれないリスクを感じたこともありました。でも、予想通りに航空業界は伸び続け、世界的に見れば旅客も航空機の発注も右肩上がり。事業承継も危ぶまれましたが、現在息子自身が「今後も航空事業をやっていきたい」と言うようになりました。次世代に良い形でバトンを引き継ぎ、航空産業を国策として盛り上げていけば世界をリードすることができますし、国益にもつながると思っています。

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Tsukuruhito

原田 浩利

原田 浩利

原田精機株式会社
代表取締役

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山内 慶次郎

山内 慶次郎

株式会社山之内製作所
代表取締役社長

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )