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tsukuru*hito (ツクルヒト)

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宇宙と航空――次世代の基幹産業を育てるために。

原田精機株式会社 / 代表取締役 / 原田 浩利

株式会社山之内製作所 / 代表取締役社長 / 山内 慶次郎

自動車やオートバイの0次試作を行い、自社での人工衛星打ち上げにも挑む『原田精機』の代表・原田浩利さんと、ボーイング787の機体や航空機エンジン部品の製造を手掛ける『山之内製作所』の代表・山内慶次郎さん。 それぞれ浜松と新潟の中小企業でありながら、日本の宇宙事業と航空事業をリードするお2人を迎え、『PrmaCeed』の代表・岩田彰人が司会役となり3者対談を行いました。 それぞれの業界の展望と課題について意見を交わし、より良い未来を築くために何をするべきか――専門的な見地も交え、濃密に語り合った様子をお届けします。

Chapter 2航空を基幹産業に育てるために、産業クラスターを形成する。

航空が日本の基幹産業へと
成長していく可能性

山内 岩田さんとの対談でも少し話題に出ましたが、航空業界の課題は「まだ産業化されていない」ことです。世界では中核企業を中心にいくつもの中小企業が集まり産業クラスターを形成していますが、日本では中小企業の新規参入がなかなか進んでいません。例えばイギリスでは政府が早くから航空産業を国策として支援する体制を構築し、地方行政と連携し特に財政面で厳しい初期段階で手厚くサポートした結果、現在では財務的にも健全な産業クラスターが形成されています。製品の90%は世界に輸出され、地域には約6万人もの雇用が生まれている。まずは同じ構造をつくり、少しずつ日本の独自色を出していければ基幹産業へ成長できるはずです。

原田 海外からよく言われるのは、「コンソーシアム(企業連合・共同事業体)を組んでほしい」ということ。宇宙・航空分野だとマネジメントが難しい分、リスクも高い。そこで加工から検査まで一貫してやってほしいという要望が出るんだよ。

岩田 信頼の担保として、品質を保証できる体制づくりが求められているんですね。

山内 とはいえ、それぞれの社内で品質保証のスペシャリストを育て、各企業が独自で国際認証を取得するのには時間がかかります。だからこそ、中核企業がとりまとめる必要があるんです。

岩田 宇宙・航空を問わず、「中小企業が集まって何か新しいことに取り組もう」とした際に直面する壁のようなものはあるんですか?

あくまで「本人に決めさせる」こと

山内 私も浜松をはじめ日本中をまわって講演してきましたが、「こっちに行こう」と先導しても誰も付いてきませんね。「みんなで成長できる道があるから選んでくれ」と言えば考えてくれます。

原田 そうなんだよね。「付いてこい」と言うのではなく、あくまで「本人に決めさせる」ことが大切なんだ。ただ、「みんなで成長できる道がある」というのは実際にその道を歩いた人でないと言えない。これが難しいところだよね。

岩田 コンサルティングしようと思っても、経験に基づいていなければ誰も話を聞かないということですか。

原田 そりゃあコンサルティングできると言うのは自己申告だし、それを信じるのも自由だよ。でもさ、自動車教習所の教官が「車は運転したことありませんが、勉強したので教えます」と言って、「はい、わかりました」と素直に肯ける?

岩田 それは無理だな(笑)

山内 そういう点も踏まえて、これからは山之内製作所が航空業界への新規参入をコンサルティングし、海外のような産業クラスターの形成を促したいと考えています。

原田 山之内製作所は工場への設備投資もすごいし、知名度も高まってきたからね。今後は大手重工やメーカーをはじめ、さまざまな依頼が来ると思うな。どれだけ会社が大きくなるか楽しみでしょう?

山内 ずっと身の丈経営をしながら顧客に頼まれたことをやってきたので、私自身は特に会社を大きくしたいとも思ってないんですよ。航空を産業化させ、日本に定着させるサポートができれば十分です。

原田 こういうことを言われたから、最初は「本当かなあ」と疑っちゃったんだよ(笑) でも、山内さんには確かな実績があるし、航空を産業化させることで会社と社員を守るという想いがある。だから、信じることができたんだ。


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Tsukuruhito

原田 浩利

原田 浩利

原田精機株式会社
代表取締役

Tsukuruhito

山内 慶次郎

山内 慶次郎

株式会社山之内製作所
代表取締役社長

この記事を書いたライター

是永 真人

是永 真人 ( これなが まさと )